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2024.05.15

#10 許容応力度計算による耐震等級3の重要性

「許容応力度計算」という言葉をご存じですか?
許容応力度計算とは、建築基準法の構造計算手法の1つで、各構造部材の耐えられる限界が、地震などの力がかかったときに、各構造部材にかかる力を上回るように計算する方法です。
つまり、安全性の高い建物を建てる際に必要な強度を知ることができる、信頼のおける計算方法となります。
もちろんなにも起きないに越したことはありませんが、いろいろな災害に備えて家族も家も守りたい場合、知っておくべき知識です。

 
詳しいお話はこちらのYouTubeでも話しているのでぜひご覧ください。

 

■許容応力度計算の内容は?

基礎、梁、柱、それらの接合部などが荷重や地震に耐えられるかを以下の内容で実施します。

●壁量計算
●壁の配置バランス
●水平構面
●柱頭柱脚の接合方法
●柱や梁、横架材など部材検討
●基礎設計
●地盤調査
●地盤補強工事 

複雑な計算を構造計算ソフトを用いて全て確認していきます。
とても専門的な内容ですが、どれだけの力がどのようにかかるかということを立体的に全て計算しているというイメージです。
 

 

■許容応力度計算は義務化ではない

3階建て以上の木造住宅には許容応力度計算が義務付けられています。
また、学校や病院、警察署などの特殊な建築物も構造計算が義務付けられています。
一方で、2階建てや平屋の木造住宅における許容応力度計算は、義務ではありません。
 

 
理由は諸説ありますが、労力やコスト、スキルなど必要なものが多く手間がかかるということかもしれません。
しかし、木造の平屋であれ2階建てであれ許容応力度計算をしっかりとかけて裏付けのある地震に強い家を建てる工務店は増えています。
 

■建物の耐震をはかる3つの方法

補足をしますと、建物の耐震をはかる方法は大きく3つあります。

建物を建築するときには、倒壊する恐れがないか、地震に対する安全性はどうかという構造計算を行います。(計算が必要とされているだけで提出義務はありません)
壁量計算などの簡略化された仕様規定でも許容応力度計算でも、「構造計算をした」と言えるということです。
2階建て以下の木造住宅は、四号特例(構造計算書の提出という作業を省略できる特例)が適用できるので、構造計算が義務化されていません。
2025年からは四号特例が変わり、構造・省エネ関連図書の提出は必要になりますが、許容応力度計算が義務化されたということではないので、仕様規定での計算が廃止される訳ではありません。
 

 
ちなみに耐震等級は1~3があり、耐震等級1が最低基準、耐震等級3が1番強いという見方になります。
 
1)仕様規定の計算

耐力壁の量が足りているか?耐力壁のバランスが大丈夫か?柱の固定の強度は大丈夫か?
この基準をクリアすると最低基準の耐震等級1になります。
仕様規定には耐震等級2・3はありません。
 

2)品確法の計算(性能表示計算)

品確法は、長期優良住宅の基準にもなります。
仕様規定は壁だけの計算ですが、性能表示計算は床面・屋根の倍率も計算するので仕様規定より厳しい計算になります。
耐震等級2・耐震等級3も計算して出すことができます。

 

3)許容応力度による計算(構造計算)

1番高度で安全な計算方法です。
注意するポイントとしては、雪の積雪荷重が地域ごとに決められており、石川県では積雪が1mのエリア 1.5mのエリア 2mのエリアが混在しています。
積雪荷重も加味した上での耐震等級2なのか3なのかをきちんと確認するようにしてください。
積雪荷重も加味した上で耐震等級3を取得することを目指しましょう。
 

 

■耐久性との因果関係

大きな地震後について調査した過去の資料より、
「耐震等級3の家は無傷もしくはクラックの修理で、住み続けることができた」
それに対し、
「耐震等級2の家は無傷もしくは倒壊、住み続けることができない家もあった」
という報告がありました。

耐震等級2で崩れた家を調べると、シロアリ被害や腐朽菌の繁殖が見られました。
構造躯体としての耐力が低下していたので、耐震等級2だったのに地震が起きた時に耐えられなかったということが分かったのです。
耐久性上の問題があったのです。

これは、耐震は建物の耐久性と因果関係があるということを示しているとも言えます。
耐震には関心がある方が多い中、見落としがちな「耐久性」
地震に強い家は、耐震等級だけではなく、耐久性も含めて考えていく必要があります。
 

 

■まとめ
安全・安心な家とは、「地震に対して命を守る家、そしてその後も住み続けられる家」だと私たちは考えます。
長期的な安心安全を考えると、許容応力度計算は、迷わずやるべきことだとみなさんに知って頂きたいと思います。
これから家の建築を考えている方は、ぜひ許容応力度計算による耐震等級3の家を建ててほしいと思います。
 

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最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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